雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
α-Chloro-N-(3-methoxy-2-thienyl) methyl-2', 6'-dimethylacetanilide, NSK-850の除草作用特性
小笠 原勝近内 誠登竹松 哲夫加藤 祥三石崎 雅彦
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 34 巻 2 号 p. 138-145

詳細
抄録

NSK-850の湛水土壌処理における除草作用特性をガラス室内ポット試験および圃場試験により検定し, 除草効果の変動要因として重要である土壌中の残効性および移動性を室内モデル試験により調査した。
その結果, NSK-850は圃場条件においても3g/aの薬量で移植水稲の生育を阻害せずにウリカワやオモダカなどの多年生雑草を除く多くの一年生水田雑草に対して高い除草効果を示し, イヌホタルイやミズガヤツリに対しても強力な抑制作用を示した。また, タイヌビエに対しては特効的に作用し, 出芽前から2葉期までの処理適期を有し, 生育期の処理においては深水条件が効果発現に有効であることが判明した。NSK-850の土壌中での残効性は高温条件で短く, 圃場施用量比の薬量で比較するとプレチラクロールとほぼ同等かあるいは若干短く, 土壌中での移動性は粘土含量や有機物含量の多い土壌で小さく, 同一薬量ではプレチラクロールより小さいことが明らかになった。以上の通り, NSK-850は移植水稲栽培におけるタイヌビエ防除剤あるいは混合母剤としての適用が期待される。

著者関連情報
© 日本雑草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top