雑草研究
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C2H4およびCO2がコナギ (Monochoria vaginalis var. plantaginea) 種子の発芽におよぼす影響
桃木 芳枝
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1992 年 37 巻 2 号 p. 121-128

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抄録

コナギ (Monochoria vaginalis var. plantaginea) 種子の発芽と, とくに土壌中の気相として想定されるC2H4, CO2, O2とそれらを組み合わせたガス条件との関係を検討した. 高発芽歩合はC2H4とCO2の両方の存在によって認められ, C2H4およびCO2の両方の吸収剤が存在すると発芽歩合は著しく減少した (Table 1)。CO2吸収剤の存在下で外生的に与えたC2H4は発芽を増加させたが, 一方C2H4吸収剤の存在下での外生的CO2の発芽への影響は極めて小さかった。しかし, 外生的CO2濃度の高い場合は発芽歩合は高まった (Table 1)。これらのことから, コナギ種子の発芽はCO2よりC2H4に影響されること, また, 外生的に与えたCO2濃度の刺激で生成される内生的C2H4により発芽が増加することが示唆された。
さらに, コナギ種子は高酸素 (60% O2) 下では発芽歩合が著しく減少し, 低酸素 (0.2% O2) 下では高い発芽歩合を示した (Fig. 2)。事実, 休眠覚醒した種子でさえ通気状態でろ紙を敷いたペトリ皿では発芽が認められなかった (Fig. 1)。これらのことは, コナギ種子の発芽にはほとんど酸素を必要としないことを証明している。

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