雑草研究
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除草剤処理によるクログワイ地上部の生育抑制と根茎および塊茎の形成との関係
稲村 達也
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1992 年 37 巻 3 号 p. 204-212

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抄録

除草剤処理によりクログワイ (Eleocharis kuroguwai Ohwi) の地上部生育が抑制をうける場合について, それが根茎および塊茎の形成に及ぼす影響を明らかにした。併せて平均草丈と株数の積の対無処理区比で示す地上部指数が, クログワイの増殖抑制の視点からどの程度の的確性を持つかを確認した。
1) 茎の出現は葉序における3輪生と同様であり (第1図), 根茎を形成する茎の割合は茎の出現順序に強く影響され, 株の中心の茎で高く外側の茎で低かった (第2図)。
2) 根茎における塊茎の形成は平均茎長の影響を受け (第2表), 茎長は塊茎の土中深度を支配する根茎長と正の相関関係にあるとともに (第3表), 根茎が長いほど塊茎直径および塊茎生体重が大きくなる傾向にあった (第4表)。
3) 塊茎形成後は, 塊茎の肥大とともに表層に形成される塊茎の仮比重は増加したが, 深い土層に形成される塊茎の仮比重は一般に低く, とくに除草剤処理により大きく低下した (第4図)。
4) 茎長と茎基部の太さの抑制は, 塊茎形成始期を遅らせ, 同化産物の減少も加わって塊茎の萌芽に影響する仮比重を低下させると推察された。
5) 以上のことから, クログワイの地上部指数が, 土中における塊茎の形成, 生存および萌芽等の塊茎動態を表す除草効果の的確な判定指標であることは明らかである。

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