雑草研究
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テニルクロールの殺草活性と土壌水中濃度
小林 勝一郎尾上 雅英杉山 浩
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1994 年 39 巻 3 号 p. 160-164

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抄録

竜ケ崎, 谷和原水田土壌およびヒメタイヌビエ (Echinochloa crus-galli Beauv. var. formosensis Ohwi) を供試し, 土壌に施用したテニルクロール [2-chloro-N-(3-methoxy-2-thienyl) methyl-2′, 6′-dimethylacetanilide] の殺草活性と土壌水分中濃度の関連について検討した。
本剤の水溶液を処理した土壌 (新鮮土壌) を二重の遠心管を用いた遠心分離法により有効水と想定される土壌水と残さ土壌 (遠心分離土壌) とに分別し, 新鮮土壌における本剤の存在量を土壌水と遠心分離土壌とに分けて測定した (Fig. 1)。土壌水中濃度は, 谷和原土壌に比べ, 竜ケ崎土壌が高かったが, 新鮮土壌および遠心分離土壌における存在量は竜ケ崎土壌に比べて谷和原土壌が高かった (Table 1)。また谷和原水田土壌に比べ竜ケ崎水田土壌に施用した場合に本剤の殺草活性が高く, 殺草活性と土壌水中濃度は密接に関連していたが, 新鮮土壌および遠心分離土壌に含まれている量とは関連がなかった。なお,本剤を施用した土壌から採取した土壌水と蒸留水を用いて直接調製した本剤の水溶液を用いた生物検定における殺草活性が一致した (Fig. 2)。
以上の結果から土壌に施用したテニルクロールの殺草性は, 土壌に存在する有効水中濃度に依存して発現するものと思われる。

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