雑草研究
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オオバコ種内2型 (普通型と minima 型) の生活史特性
中山 祐一郎梅本 信也草薙 得一
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1997 年 42 巻 2 号 p. 97-106

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抄録

オオバコ種内2型の生活史特性とその成立過程を検討するために, 京都市北東部の8集団を供試して栽培実験と発芽試験を行い, さらに, 自生地での季節消長を調査した。
1) minima 型は普通型よりも全乾物重が小さく, 早く出穂し, 繁殖分配率が大きかった (Fig. 1, 2および Table 2)。また, 年間の種子生産数は, 栽培1年目では2型間に差異はなかったが, 栽培2年目では普通型が minima 型を大きく上回った (Table 2)。
2) 普通型では, 明条件下で20℃から30℃までのいずれの温度区でも高い種子発芽率が得られた。一方, minima 型では25℃で種子発芽率が最大となり, 20℃では発芽速度が顕著に遅かった (Fig. 3)。
3) 普通型が生育する畦畔や農道では, 植生が密で, 成熟個体の死亡することが少なく, 競争が激しかった。一方, minima 型が生育する神社の境内では, ストレスが大きく, 乾燥した夏の掃き掃除や不定期な除草, 改修工事などの攬乱が予測不能な死亡要因として作用していた (Fig. 4)。また, 出芽の時期は2型間で異なった (Fig. 4)。
以上のことから, オオバコ種内2型の生活史特性は, ストレスや攬乱, 競争の質や程度が異なるそれぞれの自生地の環境に適応して成立したものと推定された。

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