雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
日本産タカサブロウ2変異型の分類学的検討
梅本 信也小林 央往植木 邦和伊藤 操子
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 43 巻 3 号 p. 244-248

詳細
抄録

Eclipta prostrata (L.) L. と記されてきた日本産タカサブロウの2変異型を分類学的に検討するために, おもに近畿地方2府4県ならびに沖縄, 福井, 石川, 埼玉および茨城県の水田畦畔において採取した127系統を同一条件で栽培し, 得られたさく葉標本のそう果と葉の形態を観察した。その結果, すべてのさく葉標本と採取系統は, そう果が大型で狭卵形から披針形の葉をもつ Round 型と, 痩果が小型で披針形から挟披針形の葉をもつ Slender 型の2群に区別された。
従来, 日本産タカサブロウに対しては, Eclipta prostrata (L.) L. が宛てられてきたが, 原記載の引用図譜には明らかな多細胞性の開出毛がある。そこで、タカサブロウ属に関する分類学文献と京都大学理学部 (KYO) 所蔵のさく葉標本を用いて検討したところ、えられた2群は E. prostrata とは別種であり、前者は Eclipta thermalis Bunge タカサブロウ, 後者は E. alba (L.) Hasskarl アメリカタカサブロウとするのが妥当であると考えられた。

著者関連情報
© 日本雑草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top