雑草研究
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踏みつけ耐性の異なる雑草の光および水分条件に対する光合成反応と実生の生存
小林 剛堀 良通
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キーワード: C3, C4, 乾燥, 光合成の最適温度, 被陰
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1999 年 44 巻 3 号 p. 195-204

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抄録

踏跡とその周辺の踏みつけ耐性の異なる広葉C3雑葉のオオバコとヨモギ, イネ科C4雑草のオヒシバとメヒシバにおける, 光, 温度および土壌水分条件に対する光合成反応と実生の生存を調べた。イネ科のC4一年草では, 強光下での高い光合成 (Table 1, Fig. 1) と光合成の最適温度 (Fig. 3) から, 踏みつけ耐性種のオヒシバが顕著な好陽性を示した。オヒシバの被陰下での実生の生存率は, 踏みつけ非耐性種のメヒシバより低かった (Fig. 2)。これに対し, 広葉型のC3多年草では, 踏みつけ非耐性種のヨモギではなく踏みつけ耐性種のオオバコが, 弱光下での高い光合成と実生の生存率といった被陰適応を示した。光合成の最適温度はオオバコで低かった。これらの結果は, 踏みつけ耐性種間での微小生育地の違い, すなわち裸地的な踏跡にオヒシバが, 被陰される踏跡にオオバコが侵入定着することを示唆する。イネ科草本と広葉草本のそれぞれのグループにおいて, 乾燥した土壌の下での実生の生存率は, 踏みつけ耐性種よりも非耐性種のメヒシバとヨモギで高かった (Fig. 4)。土壌の乾燥下での生存率はオオバコで最も低かった。これらの結果は, 踏みつけ耐性種が低い水分条件に適応的でないことを示唆する。

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© 日本雑草学会
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