抄録
3種のイネ科植物 (タイヌビエ, イネ, エノコログサ) を供試し, NaClを根部に処理することにより植物の水分収支とアミノ酸, 特にプロリンとグリシンベタインの蓄積との関係を比較検討した。水耕法で3葉期まで育てた幼植物の培地にNaClを50, 100mMで添加し, 7日間培養調査した。熱電対サイクロメータで葉身の膨圧および浸透圧を測定した。全遊離アミノ酸, プロリン, グリシンベタイン含量をアミノ酸分析計あるいはHPLCで測定した。エノコログサとタイヌビエは葉の高い膨圧ポテンシャルと低い浸透ポテンシャルが維持された (Fig. 1, 2)。これらは大きい浸透圧調節能と関連があった。エノコログサとタイヌビエにおいては塩濃度の増加に伴う全遊離アミノ酸, プロリンおよびグリシンベタイン含量の増加が主要な浸透圧調節物質因子となり塩類耐性を増加させると考えた (Fig. 3, 4, 5)。一方, イネでは塩処理に伴う浸透圧ポテンシャルの上昇及び膨圧の減少が特に第3葉で大きく, プロリンの増加は見られたが, その増加量はエノコログサやタイヌビエに比べて低かった (Fig. 4)。また, イネではグリシンベタインが検出されず, これらの事実がイネにおける浸透圧調節能の低下につながり, 塩害を大きくする要因になると推察された。