本稿では,辺ベクトルと確率モデルによる経路生成の定式化を用いた経路推薦手法における,スポットの価値を推定する手法を提案する.先行研究では,焼きなまし法により最適な経路を求めることで,経路推薦を行う手法を確立しているが,推薦に必要となるスポットの価値は明示的に定めたものを利用するにとどまっており,実在するユーザに適合した推薦手法とまでは至っていない.また,スポット間の途中経路も最適化の対象としているため,存在する道すべての価値を推定する必要があり,問題の規模が非常に大きいため,価値推定手法の構築は容易ではない.この課題に対し,本稿では,行列分解ベースの協調フィルタリングと同様のアプローチにより,道の潜在属性と,ユーザの好みを推定する手法を提案する.また,確率モデルである利点を活かし,モンテカルロ法を用いた汎用的な潜在因子推定手法を構築可能なことを示す.