行政の政策や接客業のサービスの質を向上させるためには,都市で暮らす市民によるフィードバックが重要となる.本研究では,ソーシャルメディアのつぶやきに現れる多様な市民意見を整理して抽出する手法を提案する.この際,アプレイザル理論を用いた言語学的なアプローチによって意見のタイプをつぶやきに付与することで,対象に着目した市民意見の抽出が可能となる.提案手法では,BERTモデルをファインチューニングすることで意見タイプ,地域依存性,極性といった複数の属性をつぶやきに付与し,これらの属性を利用して市民意見を抽出する.実験では,5名の実験参加者によって作成されたデータセットを用いており,各属性がBERTモデルのファインチューニングによって高い精度で推定できることを確認した.さらに,推定した属性を利用して時系列ごとの市民意見の出現頻度を分析することで,市民意見と社会情勢や自治体の対応との強い相関が確認できた.