主催: 画像電子学会
本論文では,Standard Object Colour Spectra Database(SOCS)を利用した数値実験により見出された,異なる昼光下での物体色の変化について述べる.第一に,色温度Tの照明下の色から物体の表面反射率を推定し,別の色温度T’の照明下の色を推定するとき,その結果はメタマーによらず安定であることを明らかにした.これにより,不完全色順応は,異なる昼光に関するものとして定義することができる.第二に,miredという単位で表される量Mを用いた不完全順応の表現法により,色温度の値によらず安定で,対称性のある不完全順応関数を提案できる可能性を見出した.以上の事実は,異なる昼光下における対応する色再現を実現するための基礎とすることができる.