抄録
平面的なオブジェクトを立体的に表現する作品を制作しようと考えた。厚みのない平面的な家紋や文様に奥行情報を与え、舞台の書き割りのような配置となっている。個々のオブジェクト自身には奥行きがないため、絵本の中の平べったい絵がそのまま抜け出してきて、宙に浮かんで漂っているようにみえる。日本古来の家紋、文様を使い、オブジェクトが横へと並行移動していくことにより、動く絵巻物をイメージしている。オブジェクトに家紋や文様を選択した理由は、日本独自の美しさや、デザイン性の高さを再認識してもらいたいからである。