抄録
イラストや絵画などの平面作品では,3次元空間を表現するために遠近法が用いられる.遠近法には透視図法や大気遠近法が挙げられ,これらの技法によって人間は平面上に描かれた物体の前後関係や,空間上の位置を認識することができる.デジタルペイントツールによるイラストの制作でも遠近法は用いられるが,それらはペンや筆を使った従来の手法と同様のものである.そこで我々は,デジタルであることを生かした手法で空間を認識させるためのペイントツール,Dynamic3DDrawingToolの開発を行った.本ツールを用いて描かれた作品は,陰の効果を利用したシェーディングと,運動視差を利用したパララックス,モーションの3つの要素から見る人に空間を認識させる.