抄録
近年の日本のアニメーションにおいて,従来の手書き作画と併用する形で 3DCG による画像生成が使われる場面が増えている.この場合,手書きアニメーション風にレンダリングされた 3DCG 映像が使われるため,モーションブラーに関しても写実的なものだけではない表現の多様性が必要となってきている.本研究では,モーションブラーに流体シミュレーションを応用し,オブジェクトが高速で動いた瞬間にオブジェクトの周囲で巻き起こる乱流現象を可視化する形で新しい見方のモーションブラーを表現する手法を提案する.シーン中で高速に移動するオブジェクトからパーティクルを放出し,グリッドベースで計算し流体シミュレーションを行う.さらに,シミュレーションされたパーティクルを利用してパーティクルベースボリュームレンダリングによる可視化を行う.本手法により,複雑に揺らぎながら変化するモーションブラーの生成が可能となる.