抄録
焦点の異なる複数画像から奥行きを推定するDepthfromFocus法について,画素の合焦評価の際に,注目画素の輝度値と周辺画素の平均輝度値の関係に着目し,これらがポアソン分布に従うと仮定する計算方法が提案されている.しかし,平均値の計算に複数の窓半径のフィルタを用いるため,多くのメモリと計算時間を要する問題があった.また,計算では周辺画素値を用いる平均化を二度行い,注目画素が周辺画素と強い関係を持つため,画素ごとに独立しての計算が困難であり,画素ごとの並列化やそれによる時間短縮を望めなかった.本稿ではこれらの問題の解決のため,これまで画像ごとに行われた処理を画素ごとに処理することを考え,一度の平均化で同様の結果が得られるように近似的に計算する方法を提案する.この改良によりメモリ消費量の削減と,画素ごとの並列化による高速化が望めるようになる.