抄録
聴診は,聴診器を用いて身体内部の音を聴取することで,患者の状態を判断するフィジカルアセスメントの基本手技のひとつである.肺聴診は,看護師が行う業務の中でも実施頻度が高いが,聴診を苦手とする看護師は多い.肺聴診では,正常呼吸音と副雑音を聞き分ける必要がある.しかしながら,健常者からは正常呼吸音しか聴取できないため,様々な病態の肺音を聴取するために,マネキン型の聴診シミュレータが使用される.マネキン型の聴診シミュレータは高価なため,台数や使用場所に制約がある.本研究では,ソーシャルバーチャルリアリティ(ソーシャルVR)プラットフォームを用いた聴診シミュレータの開発を目的とする.ソーシャルVR を使用することで,ネットワークに接続したPC があれば使用できるという手軽さと,遠隔地にいる人同士がコミュニケーションを取りながら学習することが容易であるという利点がある.