抄録
エレキギターの音色の変調は、ギター本体に取り付けられたスイッチ類の操作やアンプでの設定のほか、複数のギター専用エフェクターを用いることで行われる。これらのエフェクターはそれぞれが個別の変調効果の機能をもち、演奏者は得たい効果となるように、本体のツマミやボタンでパラメーターを事前に調整・設定する。そして、演奏中は足によるペダルのオン/オフの操作によって、楽曲の任意の箇所にその効果を適用させる。しかしながら、足による操作は得られる効果に限りがあり、微細な変調には高度な技術を要する。特にアマチュアの演奏者にとっては操作そのものが困難である。そこで本研究は、ギター演奏者の身体動作(意識・無意識)をトリガーとすることで直感的でインタラクティブな音色変化を目指し、その実現のためのシステムを提案するものである。プロトタイプの制作によって音楽表現の面では一定の評価が得られたが、今後はシステム自体の有用性をより高めるための技術的な改善が課題である。