本稿では2021年台風16号通過時に低層建築物の屋根面に作用した圧力と周辺風速を分析する。低層建築物の屋根面に作用した圧力の実測には著者らの研究グループが開発した絶対圧センサを用いた計測システムを用いた。分析によれば、低層建築物の屋根面で発生する急激な負圧や風速の増減はクラスタとして発現するなど強い非定常性を示した。このような特徴は、通常の風洞実験や高層建築物の耐風設計で想定されている風環境・風荷重とは異なるものであり、低層建築物の強風被害低減やリスク評価においては、既存の風荷重の算定方法を再考する必要を示唆するものである。