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-小型圧力箱を用いた実験による検討-
奥川 凜太朗, 伊藤 靖晃, 西嶋 一欽
2024 年28 巻 p.
1-10
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
建築物外皮を構成する複層ガラスの応答に基づく、新たな風圧実測手法を提案する。複層ガラスを構成する2枚のガラス間の空気の挙動を考慮した荷重応答関係をモデル化し、無風状態で収集したデータを利用して不明なパラメータの値を推定することで、荷重変形関係を補完して、風圧推定式を得る。提案した手法の可能性と妥当性を、小型圧力箱を用いた実験により検討した結果、風圧がうまく推定できる場合があることが示された。しかし、いくつかの場合では推定誤差が大きくなることが判明した。これは、ガラス間の空気の温度と温度センサを貼付したガラス表面の温度の差と、パラメータ推定に用いたデータの不足によるものと推察している。
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南 圭吾, 木綿 隆弘, 上原 実, 坂田 学, 河野 孝昭
2024 年28 巻 p.
11-20
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
鉄塔の耐震対策として、送電線を支えるV吊装置に有機がいしが設置されているが、有風時に高周波数の風騒音が発生することが問題となっている。本研究では有機がいしから発生する風騒音に及ぼす傾斜角度の影響を調べるために、風洞実験及びLESによる三次元流体解析とCurleの式による音響解析を実施した。笠径をD = 129、 155、 178 mm、傾斜角度を0゜から30゜まで変化させた。数値解析の結果、流れが笠前縁から剥離して生じる渦が風騒音の発生源であることを示した。また、笠径が小さくなるほど発生音の周波数が低下するが、これは笠径に依存するのではなく、先端の厚みに依存していることを明らかにした。
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山本 佳嗣, 菊田 弘輝, 林 基哉
2024 年28 巻 p.
21-30
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究では、感染症拡大時における家庭内感染を防止するため、自宅療養室における扉の開閉が浮遊飛沫漏出に与える影響を明らかにすることを目的として実験を行った。実験では人工気候室内に自宅と廊下を再現し、住宅を想定してドア開放時の空気流出特性についてPIV解析を行った。実験は2種類の扉を対象とし、扉前後の圧力差と室間温度差を変化させたケースでの実験を行った。実験の結果より扉開閉による空気流出量を算出し、室からの空気流出特性を明らかにした。
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内田 孝紀, 澁谷 光一郎, 本田 明弘
2024 年28 巻 p.
31-38
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究では、風車ナセルやタワーからの剥離流が風車の近傍後流(near wake region)に与える影響について数値的検討(LES)を行った。その結果、本研究で使用した風車模型のタワー部が円柱の場合には、タワー背後に下降流が誘起され、その結果として風車ブレード(風車受風面)背後のウエイク領域も地面方向に連行されることが明らかになった。
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立花 卓巳, 義江 龍一郎, 玄 英麗
2024 年28 巻 p.
39-47
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
Hu and Yoshie (2020)は汚染物質に対する大気安定度の影響度合いを表す関数SER_C* (Stability Effect Ratio for Normalized pollutant concentration C*)を提案した。SER_C*は非中立時の無次元濃度C*と中立時のC*の比を表す。風洞実験ではバルクリチャードソン数(Rb)が増加するにつれてSER_C*が増加することを示した。しかし、風洞実験のRbの範囲が実大気のRbの範囲をどの程度カバーしているか明らかではない。また、Rbとパスキル安定度階級との対応関係も明確ではない。そこで本研究ではまず風速・気温の観測値とWRF解析で得られた地表面温度から実大気のRbを求め、Rbの範囲と発生頻度およびRbとパスキル安定度階級の対応を明らかにした。次に東京都内の大気観測局で観測されたNOx濃度をRbで分類し実大気のSER_C*とRbの関係を調べた。
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-風向と推定風速の関係に関する検討-
吉川 峻平, 大風 翼, 高野 靖, 西嶋 一欽
2024 年28 巻 p.
48-57
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究の目的は、都市空間内の稠密な風速場計測を行うための、音響を利用した風速計を開発することである。この風速計の利点は既存の計測機器に較べ廉価で設置が容易であることにある。提案する風速計はカルマン渦列によって励振された弦の振動音を録音・解析することにより、周波数から風速を逆算するというものだが、既報において弦と風向が直交する場合に風速が推定できることは確認されている。そこで本研究では風向に対して弦が傾斜している場合でも風速の推定が可能であるということを実験によって確かめる。断面径D=0.20mmの弦を使用すると、一様流において相対誤差5%以内で弦に直交する風速成分を推定できることが分かった。
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-傾度風モデルの適切な選択に着目した評価-
江口 譲, 野村 光春, 服部 康男
2024 年28 巻 p.
58-67
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
著者らが開発した台風下層の大気境界層内風速の有限要素法解析コードに関して、その精度を風観測データを用いて評価した。風観測データとしては2020年台風10号が南大東島付近を通過した時間帯でのウインドプロファイラ観測結果およびアメダス観測結果を用いた。上空の境界条件(傾度風モデル)としてKepertモデルとGeorgiouモデルの2種類を選定し、その影響を調べた。その結果、傾度風モデルの選択が観測結果との整合性に大きく影響することが判明した。また、数値解析では地形・地面粗度効果を考慮せずすべて海面として最下層境界での抵抗係数を与えているが、このような境界条件を用いた数値解析の風速は観測に比べて保守的となることを確認した。
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-2019年台風19号の擬似温暖化実験-
中島 慶悟, 山中 徹
2024 年28 巻 p.
68-77
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
大気、海面水温の温暖化を考慮した2019年台風19号の擬似温暖化実験を行い、地球温暖化が台風の発達、減衰に与える影響について検討した。2019年台風19号は、比較的低緯度から減衰が始まった台風であるが、将来気候下においては高緯度まで勢力を維持し、最盛期からの減衰が小さい状態で上陸した。その結果、上陸時の台風強度が顕著に増大し、将来気候下の上陸時における最大風速は現在気候下の値の1.23倍になった。これは、地球温暖化により高緯度においても海面水温が高い状態になり、海面から台風へのエネルギー供給が活発な状態が維持されたこと、下層の水蒸気混合比の増加により大気が不安定化したことが主な要因であると考えられる。
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藤原 圭太, 竹見 哲也
2024 年28 巻 p.
78-84
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究は、近畿地方に甚大な強風災害をもたらした2018年台風21号(Jebi)に対して擬似温暖化実験手法を適用し、地球温暖化がJebiに起因する地域規模の強風ハザードに与える影響を調査した。温暖化が進行した場合、Jebiは勢力を維持したまま近畿地方に接近し、近畿地方の沿岸地域の地上風速が大幅に増加する。例えば、神戸や大阪などの都市圏で領域平均した風速の最大値(Vmax)は、地上気温が1℃上昇とともに1.16 m s
-1増加していた。また、顕著な暴風(例えば、Vmax > 40 m s
-1)を経験する領域は、地上気温が1℃上昇とともに倍増することも判明した。本結果は、地球温暖化が近畿地方のより広範囲において台風に伴う強風災害のリスクを増大させることを示唆する。
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-強風の発達と水平気圧傾度の関係性-
今枝 侑香, 重田 祥範
2024 年28 巻 p.
85-91
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究では、京都府北部において2023年10月下旬から広範囲かつ多地点で気象観測を実施し、由良川あらしの風速や継続時間、そして発生頻度について明らかにした。その結果、由良川あらし発生日では、日没後、各地点に明瞭な気圧差が生じ、1時頃福知山が河口よりも最大1.7hPa高圧状態となった。また、日没後は河口の風速が南寄りに変化し、19時ごろから5.0m/s以上、最大で6.6m/sを記録し、河口の風速は福知山盆地の風速の3倍以上の値となっていた。
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入江 健太, 竹見 哲也
2024 年28 巻 p.
92-99
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
領域気象モデルを用いて地表からの顕熱フラックス(SHF)を変動させる数値実験を行い、大阪上空の夏季局地循環に対するSHFの影響を調査した。SHFが減少すると海面更正気圧が上昇し、その結果圧力勾配が小さくなった。これにより、特に強風の頻度が減少し、10mおよび850hPaでの風速も弱まった。10mでの風速の弱まりは、10mでの水平収束の強度低下に寄与し、その結果、平均鉛直風の風速最大値とその高度も減少した。これにより、850hPaでの水平発散の強度と高度も低下した。したがって、これらの結果は、SHFの変化が三次元の大気循環に影響を与えることを示している。
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INFLUENCE OF κ-ε MODEL MODIFICATION REPRODUCING PERIODIC LARGE-SCALE FLUCTUATIONS
李 心怡, 大風 翼
2024 年28 巻 p.
100-109
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
This study aims to investigate the applicability of the unsteady Reynolds averaged Navier–Stokes equations model (URANS) simulation with the proposed modification that reproduces periodic fluctuations induced by bluff bodies. The modification introduces large scale influence by adding the time scale of the production term of ε–equation in the standard k-ε model. Airflow within a simplified 9 × 9 cubic array with point-source dispersion of air pollutants was tested. We compared the URANS results with those from a large-eddy simulation (LES) and a wind tunnel experiment (WTE). Although the original model dropped the advection term in the time scale for total derivative and only considered the partial differential respect to time for flow around 2D square cylinder, but the advection term has great influence on reproducibility of periodic fluctuations of flow within the array in this study.
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東野 莉奈, 中村 隆斗, 本江 一紘, 玄 英麗, 吉村 奈津江, 大風 翼
2024 年28 巻 p.
110-119
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究では、脳波を用いて風の瞬間的な心地よさ感の定量化を試みた。はじめに、熱的中立な人工気候室で実験を行い、風曝露時の脳波と風の心地よさの主観申告を取得した。続いて、実験参加者17名のデータを用い、1)t検定による、PleasantとUnpleasantの各申告時に脳波の傾向差を示す脳領域の推定と、2)脳波の機械学習による風の心地よさの予測、及び予測への寄与が大きい脳領域の推定を行った。全脳領域の各周波数帯における脳波を用いた予測検証で、平均正解率は約55%となった。また、予測への寄与が特に大きかった複数の脳領域は、t検定でPleasantとUnpleasantの間に有意な差を示した。
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南 健斗, 水田 瑛人, 米澤 千夏, 大風 翼
2024 年28 巻 p.
120-128
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究は、宮城県北部に位置する大崎耕土において、卓越風向に直交する形で複数列の樹林帯として配置された居久根による集落内の防風メカニズムの解明を目的とした。まず、検証用データとして、集落全体の平均風速の分布を得るために野外観測を行った。次に、LES(Large-eddy simulation)を用いて集落の再現解析を行った。風速は解析と野外観測の間で良く一致しており、集落内の平均風速は、集落外と比較して半減した。さらに、複数列の樹林帯が配置された2次元解析の流れ場に基づいて、居久根同士の間隔と防風効果との関係について検討した。その結果、居久根同士の間隔が居久根の高さの10倍以内であれば、適切な防風効果が得られることがわかった。
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誉田 優太, 藤井 隼平, 大風 翼
2024 年28 巻 p.
129-135
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
3次元流れ場に対してパーシステントホモロジー(PH)を適用しての風の道抽出法を提案した。手順は次の3ステップからなる。1)3次元数値流体力学(CFD)で得られたデータに2種類の大きさの空間フィルタを用いて局所風速と周辺の平均風速との風速比を算出する。この風速比が大きな領域は風が通りやすいと考えられる。2)次に3次元データの風速比に対してPHを適用して2次元のパーシステント図(PD)に変換し、流れ場の特性を把握する。3)最後に、PD内でlife-timeの長い領域を風の道として可視化する。さらに、都市沿岸部を例として、提案した手法により可視化した風の道と、都のガイドラインが示す風の道を比較した。
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水田 瑛人, 南 健斗, 大風 翼
2024 年28 巻 p.
136-144
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究は、宮城県北部に広がる屋敷林「居久根」を対象に、樹林後方の流れ場のメカニズムを解明するため、居久根を再現した2次元樹林周りのLES(Large-eddy simulation)を実施し、固有直交分解(POD)により流れ場の分析を行った。解析対象は、低木と高木で構成されるケースと、低木のみで構成されるケースの2ケースとした。低木のみでは、樹林後方において逆流を伴う乱れの大きい風環境が形成され、低木と高木では、逆流を伴う乱流変動が緩和されていた。PODの結果、Mode 1及びMode 2では、両ケースともに空間関数と時間関数は同程度の変動を示した。一方で、Mode 3以降では、低木のみで逆流に寄与するModeが見られたが、低木と高木で逆流に寄与するModeは見られなかった。
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稲葉 雄生, 石田 泰之, 山根 優太, 持田 灯
2024 年28 巻 p.
145-154
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
建物壁面に作用する風圧を正確に予測するためには、壁面付近の高い格子解像度と低い離散化誤差を持つ差分スキームが必要であり、これらは一般的に数値的に不安定になる傾向がある。近年広く使用されているCFDソフトウェアの一つのOpenFOAMには、計算領域の流出境界における静圧が一定値でなければならないという仕様がある。我々の研究では、この仕様が、流入変動風を流入境界条件として課すと、実現象では発生しない過剰な静圧変動を引き起こすことを確認した。本研究ではまず、変動する流入量を一定化させた。次に、LESを用いて立方体モデルに作用する風圧を予測する際の格子解像度と移流項の差分スキームが計算の安定性と精度に与える影響を分析した。
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―POD解析と複素POD解析による検討―
髙舘 祐貴, 植松 康
2024 年28 巻 p.
155-164
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本論文では、大スパンの陸屋根の変動圧力と空力安定性の特性をPOD解析(POD)および複素POD解析(CPOD)を用いて検討した。静止屋根および逆対称一次モードで強制振動する屋根に作用する風圧は3次元空間でのCFDで計算し、屋根に作用する風圧は屋根の中心線に沿った2次元断面に対して評価した。PODとCPODによる結果を比較すると、CPODでは1つのモードが実部と虚部を持ち、各モードがより多くの情報を表すため、それぞれのモードがPODとはやや異なる変動風圧の組織的な構造を表すものとなった。屋根の空力安定性については、屋根の一般化変位と一般化風力の履歴曲線、1サイクルにおけるエネルギー収支を用いて評価した。さらに、PODおよびCPODの結果を用いて瞬間的な圧力分布と屋根の変位の関係から屋根の空力安定性に影響する風圧性状とエネルギー収支の関係を明らかにした。
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河合 英徳, 田村 哲郎
2024 年28 巻 p.
165-172
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究では複数の高層建築物が散在するBuilding cluster内の乱流場が高層建築物の層風力の変動特性に及ぼす影響を分析した。固有直交分解の縮約モデル(ROM)に基づいた分析の結果、高さ300mでは周辺建物の影響が少なく
fB/Uref=0.1付近でエネルギーの高いピークが出る一方で、高さ200mでは前方の建物幅の小さな高層建築物の隅角部から発生する剥離せん断層が対象建物の後流の渦構造に影響を及ぼすことで、層風力(風直交成分)のピーク周波数が高周波側に移動すること、複数建物の建物群の乱流場によって形成される低周波な層風力の変動が存在することが示唆された。
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Dianne Grace CIRUNAY, Yuki TAKADATE, Kiyotaka DOI, Takashi TAKEUCHI, E ...
2024 年28 巻 p.
173-182
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
The present paper aims to clarify the range of detailed modeling of surrounding buildings that affect mean wind pressure acting on low-rise building roofs. The study takes its basis in wind tunnel experiments with wind tunnel models that are developed with digital data focusing on a 410 m by 810 m area in the southern part of Osaka prefecture. Taking advantage of the digital data, the height and footprint are considered for all wind tunnel models. In addition, the roof shape is considered for buildings in the vicinity of the target buildings. The series of wind tunnel experiments was conducted by changing the range of the detailed modeling of surrounding buildings. The results indicate that the surrounding buildings within approximately 420 m to 600 m can affect the mean wind pressure of target low-rise buildings.
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普後 良之
2024 年28 巻 p.
183-189
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究の目的は、機械学習を用いて乱流境界層風洞における気流作成作業を簡略にすることである。粗度要素(スパイヤ、バリア、ラフネスブロック)を組み合わせた配置パターンと、これに対する気流性状が55セット用意された。このデータセットは1つの風洞で過去に地表面粗度区分ⅠからⅣ、模型スケール1/100から1/500を目標に作成された気流データである。機械学習手法はRFおよびSVRとし、両者の予測精度の差はなかった。予測精度は極端な粗度要素の配置に対して低下する。しかし、目標とする気流の性情は、学習データの範囲内のパラメータに対して±20%の範囲内で得られており、実用上は十分と言える。
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益山 由佳, 植松 康, 中村 修
2024 年28 巻 p.
190-199
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本研究の目的は、屋上広告板の合理的な外装材用最大ピーク風力係数の提案である。建物の1つの壁面上に設置される屋上広告板の最大ピーク風力係数は、建物形状、広告板形状、設置位置をパラメータとした系統的な風圧実験により計測された。設計上最も重要となる広告板端部において、最大ピーク風力係数は広告板に対し約50°斜めとなる風向で全風向中の最大値を示した。ピーク風力の発生メカニズムは建物屋上の可視化実験により明らかとなった。予測式は、建物と広告板のそれぞれのアスペクト比、建物屋根上における広告板の設置位置、および建物に対する広告板の相対サイズをパラメータとして導出され、その精度は実験値に対し±20%である。
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村上 剛, 西嶋 一欽, 丸山 敬
2024 年28 巻 p.
200-209
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
切妻屋根に太陽光パネルを設置した住宅模型を使用して、乱れの強さの異なる気流によるパネルまわりの風圧、風力の違いを風洞実験で調査した。乱れ強さが大きな場合、けらば近くのパネルに強い負の風力が作用する。パネルまわりの流れを数値流体計算で把握し、強い負の風力が、風上からの回転運動を含んでいる流れが移流して発生する円錐渦に対応して生じることを明らかにした。強い負の風力が発生する流れ場をモデル化し、最小ピーク風力係数が乱れの強さの関数として扱えることを提案した。提案式による風力係数は、地表面粗度区分ⅢおよびⅣの場合にJIS C 8955 で算出する風力係数よりも安全側に設定できる。
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相原 知子, 伏原 小裕, 一色 裕二, 植松 康
2024 年28 巻 p.
210-218
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
本論文では、辺長比とアスペクト比を変化させた複数の矩形建物を対象とした風洞実験に基づき、建物コーナー部に設置される方立の設計用風荷重について検討した。方立はコーナー部のカーテンウォールを支持するため直交する2面の風荷重を同時に受ける。建築基準法では、建物の外装材や部材を設計するためのピーク外圧係数を、風向によらず部位ごとに最も危険側となる最大および最小ピーク外圧係数に基づいて規定している。そのため、異なる面にこれらのピーク外圧係数を同時に作用させると方立の風荷重を過大評価する可能性がある。本研究では、隣接する2壁面の外圧係数を組み合わせることで方立の最大荷重効果を再現できる外圧係数を提案した。
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Khin Myat Wai, Hiroshi KATSUCHI, Jiaqi WANG
2024 年28 巻 p.
219-228
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
This study investigates the wind flow field around the Seto-Ohashi Bridges during typhoon KROSA in 2019, using the Weather Research and Forecasting Model (WRF). Three WRF Large Eddy Simulation (WRF-LES) models, i.e., 1.5 order Turbulence Kinematic Energy (1.5TKE) closure model, Smagorinsky (SMAG) model, Nonlinear Backscatter and Anisotropy (NBA) model, and YSU Planetary Boundary Layer (PBL) scheme were tested to evaluate their performance for reproducing the wind flow filed around the Seto-Ohashi Bridges. The correlation coefficient between the simulated and observed 10-minute mean wind speed and direction showed no significant difference between the LES models and the YSU PBL scheme. Additionally, no significant variation in gust factor reproduction was observed. During typhoon KROSA passage, the maximum wind speed was observed at Hitsuishijima Viaduct with an approaching east wind, when typhoon centre started to land on Shikoku Island. Owing to the terrain blockage effect of Shikoku Island, significant variation of wind speed and direction along the Seto-Ohashi Bridges was observed, when the wind came from east and southeast. This result highlights the influence of local terrain on the wind flow field of the Seto-Ohashi Bridges.
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室田 郁人, 松宮 央登, 野口 恭平, 片山 理貴, 八木 知己, 櫻井 信, 柴田 駿介, 石川 慎二, 井田 政裕, 早田 直広, 清 ...
2024 年28 巻 p.
229-237
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
通信線など、一体化された並列2円柱について、同位相ギャロッピングの発生が懸念されている。そのため、振動抑制のための対策を空力的な観点から講じることが望ましい。そこで、直径の異なる場合を含む、円柱間距離の小さい2円柱について、風洞実験を実施することで2円柱の配置と空力不安定性の関係を検証した。加えて、準定常空気力モデルを用いた時刻歴応答解析により応答振幅を算出し、自由振動実験結果と比較することで準定常理論適用の妥当性を検証した。その結果、円柱同士の隙間が小さい場合ほど大きな振動が発生しやすいことと、流れ場が複雑な2円柱を対象にした場合でも準定常理論の適用がある程度妥当であることを明らかにした。
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奥田 一喜, 勝地 弘, 王 嘉奇
2024 年28 巻 p.
238-247
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
長大支間長を有する斜張橋においてケーブルに作用する風荷重は、橋梁の耐風設計において重要な問題であり、ケーブルの低抗力化が求められる。本研究ではケーブルの空力振動対策である表面加工がケーブルの空気力と流れ場に与える影響および抗力低減メカニズムについて風洞実験により検討した。空気力、表面圧力の測定結果より、スパイラル突起ケーブルとインデントケーブルでは、円断面ケーブルよりも抗力係数および変動揚力係数の低減、剥離点の遅れ、背圧の回復を確認した。PIV実験とPOD解析により、これらがスパイラル突起または離散したインデントによる表面粗度の三次元的な効果によるカルマン渦剥離の抑制と後流幅の縮小に起因することを明らかにした。
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後藤 啓太, 大澤 輝夫, 上林 将輝, 圓尾 太朗, 小長谷 瑞木, 高桑 晋
2024 年28 巻 p.
248-257
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
洋上風力発電の風況調査では、1年間以上の風況観測が必要である。一方、開発の初期段階において、観測データが収集され次第その短期間のデータを基に年間風況を推定し、事前検討に用いることができれば有益である。本研究では、複数のMCP法を用いて、1年未満の観測データから年間風況推定を行った。その結果、線形回帰(風向分類なし)とランダムフォレスト差分モデルの推定精度が高いことが明らかとなった。また、観測時期が推定精度に大きな影響を与えることが示された。ランダムフォレストによる推定では、直接風速を推定するのではなく、風速差を推定対象としてモデル化を行うことで、推定精度が大きく改善されることが分かった。
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鈴木 望美, 長谷部 寛
2024 年28 巻 p.
258-266
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
ジャーナル
フリー
これまで風による振動を利用して風力エネルギーを回収する様々な試みや研究がなされてきた。
本研究ではフラッター現象に着目し、ウェイクの空力振動を利用した新しい風力発電システムを開発した。この発電システムでは、複数の平板が振動子として機能する。振動特性は、平板の枚数や間隔を考慮し様々な条件で検討した。注目すべきは、3枚の平板を不等間隔で並べた場合、最も高いねじれ振幅が大きくなったことである。発電出来たものの、この条件下では比較的低い発電量しか得られなかった。
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~地形及び風車ウェイクによる風特性、性能の影響に関して~
笹沼 菜々子, 本田 明弘
2024 年28 巻 p.
267-275
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
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効果的かつ信頼性のある風力発電の利用には、風車の位置における風況と風車ウェイク挙動の両面を理解が必要である。 山岳地帯にに風車を建設することは、風速増速の効果により風力発電に好ましい環境であり、民家が少ないため人間への悪影響は最小限に抑えられると期待される。 一方、山岳地帯における風況に関する研究は、丘陵や森林などの他の複雑地形に比べると比較的少ない。 本研究では、津軽半島の最北端に位置し、急峻な山岳地帯を有する地域設置された2基の1.67MW風車の風特性をSCADAデータを用いて分析した。 この分析の目的は、風速分布、近接ウェイク領域における風速欠損および発電量減少に対する地形の影響を定量的に検討することである。 これらの結果を基に、中程度の忠実度をもつ風況シミュレーションWAsP CFDと複数のウェイクモデルを組み合わせ、観測データとの比較検証を行った。 観測データでは、ウェイクにより風速低減(40%)、発電量減少(40%)が其々確認された。
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鹿内 柊吾, 本田 明弘, 久保田 健, 大槻 映玲永, 笹沼 菜々子, 岡崎 衆介
2024 年28 巻 p.
276-285
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
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近年、風力発電では発電量の低下や、後流風車による下流風車への疲労負荷の増大による流量変動などが問題となっている。これらの問題については、国内外でシミュレーション等の検討が行われている。しかし、実際の風車を対象とした後流の可視化・評価に関する研究は多くない。そこで本研究では、国内有数の風力発電量と降雪量を有する青森県の地理的特性を活かし、降雪を利用した実風車の後流の可視化とPIV(Particle Image Velocimetry)法による後流現象の評価を試みた。その結果、小型風車を用いた実験において、2Dまでの可視化と1Dまでの数値評価に成功した。
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島 卓真, 木綿 隆弘, 池田 舜祐, 立野 大地, ヒラジ モハメド, 上野 敏幸
2024 年28 巻 p.
286-295
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
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片持ちV形柱を用いた磁歪式風振動発電デバイスの性能向上を目的とした風洞実験を行った。流れ直交方向長さHと開き角βが応答振幅と発電量に及ぼす影響を調査した。供試模型はPLAとCFRPで作成した。β = 90°のV形柱はソフトギャロッピング振動を示す。一方、振動開始風速はβの増加とともに低下するが、β = 150°は振動しない。45/-45繊維配向のCFRTP製模型のねじり振動は、0/90繊維配向のものよりも小さくなる。スモークワイヤ法による流れの可視化により、振動特性と模型周りの流れ構造の関係を明らかにした。β = 90°および
H = 40 mmの供試模型の発電量は、他の場合と比較して1.6 mWと大きくなる。
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澁谷 光一郎, 吉田 忠相, 乾 真規, 馬詰 佳亮, 内田 孝紀
2024 年28 巻 p.
296-305
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
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実サイトの風速・風向データを使用し、実風況場における風車ウエイク挙動を解明した。10分データの分析では、実際に風車ウエイクが生じていることを確認し、ウエイクの影響が風向変動の大きさで変化することを明らかにした。2次元のPorous-Diskモデル使用したシミュレーションでは、実機の1秒データを計算の境界条件に与えることで、実風況場の風車ウエイクを再現した。計算結果は観測結果と時間のずれが生じたものの、ずれを補正すると非常によく一致することが確認された。実際の風況場では、風速・風向の変動により風車のウエイクが著しく変化しており、下流側の風車にウエイクが影響する時間帯が頻繁に入れ替わって発生することが明らかとなった。
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比江島 慎二, 席定 泰生, 山根 蒼太, 上田 剛慈
2024 年28 巻 p.
306-312
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
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垂直軸風車の性能を向上させるための固定翼として加速翼を提案した。加速翼は回転翼外周上に配置し、加速翼を支持するアームと回転翼上流端のなす角度をアーム角αとするとき、α = 40deg ~ 60degにおいて、加速翼なしに比べて最もエネルギー取得性能が向上した。一方、α = -10deg ~ 30degでは、回転翼を逆回転させる方向のトルクが発生する。さらに、α = 0deg、-40degではほぼ完全に回転翼の回転を抑制できる。
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茨木 颯太, 比江島 慎二
2024 年28 巻 p.
313-322
発行日: 2024年
公開日: 2025/04/03
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自律高空帆走発電において、方位角方向への8の字軌道のずれを回避するために従来の飛行制御法を改良するとともに、飛行制御パラメータに風速が及ぼす影響について明らかにするため、実規模を想定したカイト飛行シミュレーションを行った。風速が基準飛行方向角やロール角とロール角速度の修正率に及ぼす影響について検討するとともに、風速と基準飛行方向角の影響を考慮した最大ロール角とロール角速度の関係式を導いた。自然環境下における風速の変化などに対し、この関係式にしたがって最大ロール角とロール角速度を決定することにより、安定した8の字飛行制御を実現できると考えられる。
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