本報では、統計データの質と空間的広がりの均質性について他の観測データと比較してかなり有利な条件を具備している海洋観測衛星による観測データに基づいて、バラスト水交換実施海域の海象調査を行なう場合の手順の定式化について検討することを目的としている。また、日本∼オーストラリアならびに北米西岸間の航路を例にとり、実際にバラスト水交換が実施されている海域において、海洋観測衛星GEOSATを通じて収集された長期の波浪統計データを利用して、定式化された手順に基づき海象調査を実施した。その結果、GEOSATのデータに定式化された手順を施せば、基本計画段階で船舶バラスト水交換実施海域を想定して種々の検討を行う際の海象設定を効率的かつ簡便に行なうことができることを確認した。