西部造船会々報
第108回西部造船会例会(西部造船会々報 第108号)
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初期構造計画時における3次元CADを利用した船殻モデルの構築に関する研究
*松岡 和彦野瀬 幹夫
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p. 000003

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抄録

近年,コンピュータシステムのハードウェア性能とソフトウェア技術は非常に大きな発展を遂げており,高性能化と低価格化が進んでいる。製造業の分野で用いられるCADに関しても高性能化と低価格化に伴って2次元CADから3次元CADへと移行が進んでいるのが現状である。現在,造船分野における3次元CADの利用は,船殻と配管艤装の生産設計段階で確定された情報を入力し一品NC情報を出力する利用法が主流である。変更修正を繰り返さなければならない設計検討段階では依然として2次元CADによる設計が行われている。これは船舶を構成する船殻構造の部材数や艤装品数が膨大で,モデルの構築に多大な手間がかかるためと思われる。また現在の確定情報を入力することを前提に設計された造船用3次元CADでは,入力項目が多く操作手順が煩雑であるため,設計初期の段階で設計者が思考しながら利用するには適していない。しかし,近年の造船業を取り巻く環境は厳しさを増しており,経済状況の変化や中国並びに韓国の造船業への台頭により,設計のスピードアップと建造のコストダウン,特殊船の設計や船主要望へのよりきめ細かい対応などが求められている。これらの要求に対応するには,従来からの確定情報の3次元化とは別に,設計初期の段階で簡便に3次元モデルを構築し,設計者間はもとより建造,調達,保証といった関連する部署の間で横断的な設計検討を十分行う必要がある。つまり造船分野においてもコミュニケーションやエンジニアリングの基礎となる船殻初期3次元モデルを素早く構築し、必要な情報を共有する必要が発生している。そこで本研究では,設計初期の段階で設計検討を行うための船殻初期3次元モデルを簡便に構築する手法として,トポロジー理論に基づいたモデル構築方法を提案する。本研究ではこの構築法を用いて実用化システムの開発を行い、モデル入力を自動化した。これによりモデル構築の手間を大幅に削減し,設計初期の段階で船殻初期3次元モデルを構築することが可能となった。

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© 2004 公益社団法人日本船舶海洋工学会
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