非定常造波問題の数値解法のひとつとして、船体周りの流場を仮想境界面により近場(内部領域)と遠場(外部領域)に分割し、近場にランキンパネル法を、遠場に Green関数法 を適用して仮想境界面上で両者を結合させるという解法、いわゆる、ハイブリッド法が提案されている。この方法では船体表面上において波核関数を計算しないために波核関数の数値計算に起因する諸問題が発生せず、また、 外部領域に Green関数法を適用するために放射条件を厳密に満足させることができるという利点を有する。本研究では、空間に固定した仮想境界面を用いるハイブリッド法を提案し、単一特異点が造る波動場の計算を行い、本手法により得られた数値計算結果と波核関数を用いて得られる理論解とを比較することによってその有効性を検証している。また、自由表面及び仮想境界面上の格子形状・分割数を変更した計算を行い、格子形状・分割数と放射条件の関係についても詳細な検討を行っている。