西部造船会々報
第108回西部造船会例会(西部造船会々報 第108号)
会議情報

マルチエージョエント・シミュレーションを用いた浮体型救援基地の機能性評価
浮体型救援基地
篠田 岳思*関 和隆福地 信義
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 000028

詳細
抄録

平成7年阪神・淡路大震災による人的被害は死者6,432名(関連死910名を含む),行方不明者3名,負傷者43,792名という極めて深刻な被害をもたらした。さらに25万棟の住家屋が全半壊し,幹線道路網や港湾機能等の交通網の被害,上下水道,都市ガス,電話等の通信機能等のライフラインの寸断により,長期に渡り大きな被害をもたらし,復興に至るまで莫大な損失をもたらした。 この大震災では,陸上交通路網は,例えば高速道路倒壊のように重大な被害を受け,物資や人員の救援に対する陸上輸送が麻痺し深刻な状況となった。この震災の報告によると罹災者への水,食料の輸送等ライフラインの確保,物資輸送,救命,人工透析患者等の日常にハンデのある方々の移送,救援者の輸送,さらには罹災者および救援者への避難所や宿泊所の提供等,物資・人員輸送において船舶による海上支援の有効性が高いことが報告された。ところが,都市近郊の多くの岸壁や埠頭は崩壊し支援船の接岸が不能となり,さらには荷役機器の倒壊による機器の使用不能となったことや船舶の航路の確保等も報告され,海上支援上の障害となる問題点も指摘された。 これらの教訓を背景として,本研究では我が国沿岸部に多数点在する大都市での大震災の際に,海上からの支援を基本構想とした震災時の救援物流および復旧支援活動のための海上から支援支援する浮体型救援基地についてマルチエージェントシミュレーションにより機能性評価を行う。

著者関連情報
© 2004 公益社団法人日本船舶海洋工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top