西部造船会々報
第108回西部造船会例会(西部造船会々報 第108号)
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閉塞領域を考慮した船舶の自動航行に関する研究 (続報)
*古川 芳孝貴島 勝郎茨木 洋阿部 憲和宮原 誠宜
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p. 000023

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抄録

 近年の海運業界の国際競争激化に伴い,国内の船員雇用数は年々減少傾向にあり,また,船舶の乗員数の少人数化が進むにつれて,乗組員の操船時の作業負担が大きくなってきている。さらに,全乗員数に対する経験の浅い乗員の割合も相対的に増加しているため,船舶航行の安全性の確保や乗員の作業負担の軽減を目的とした操船支援システムに関する研究ならびに自動運航システムに関する研究が多く行われている。一方,Kinematic GPS を利用した測位精度の向上や,IMO における AIS (Automatic Identification System) の搭載義務化の決定により,船舶の完全自動航行システムの実用化が現実味を帯びてきている。 著者らは船舶の完全自動航行システム開発の第一段階として,二隻の船舶間の衝突回避問題を対象にファジィ推論を用いて海上衝突予防法に基づく判断・行動を行う衝突回避アルゴリズムを構築し,シミュレーション計算によりその有効性についてこれまで検討を行っている。また,前報においては,船舶の固有閉塞領域を衝突危険度の判断パラメータとして衝突回避を自動的に行うアルゴリズムを構築し,シミュレーション計算によりその有効性について検討を行った。さらに,著者らは自動航行システムの検証を目的として,CCD ビデオカメラと光ファイバージャイロにより模型船の位置や回頭角等の情報を取得し,模型船を自動航行させるための実験システムの開発を行った。 そこで,本研究においては,停止船を想定した障害物を回避する問題に対して前報で構築した避航アルゴリズムを拡張して適用し,停止船の周囲に設定する閉塞領域の大きさや避航のための針路を決定する際に用いるパラメータの変化が船舶の避航運動に及ぼす影響について,まずシミュレーション計算により検討を行った。続いて,シミュレーション計算により検討を行った避航アルゴリズムを模型船の運動に適用し,模型実験によりその有効性について検証を行った。

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© 2004 公益社団法人日本船舶海洋工学会
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