西部造船会々報
第98回西部造船会例会(西部造船会々報 第98号)
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非線形計画法を用いた方向波スペクトルの推定
前田 克弥斎藤 公男高石 敬史渡辺 健二
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p. 7

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抄録

船を一種の波浪計とみなすと, 原理的には船体運動から波スペクトルの推定ができ, 平均波周期や有義波高など波浪情報の把握が可能であることはよく知られている。しかし, 船が前進速度を持って追波中を航走する場合には, 出会い周波数は波周波数との対応が必ずしも一対一とはならないなど波スペクトルの推定は容易ではない。この問題については, 井関, 吉元, 平山らはそれぞれ別個にその解決法を提案し, 方向波スペクトルを求めている。本稿では, 非線形計画法を用いた方向波スペクトルの推定について検討している。すなわち, 方向分布関数を設計変数とし, 推定したクロススペクトルと計測値との差を目的関数として、 目的関数が最小となる設計変数を非線形計画法を用いて推定する方法である。解析に用いた計測値は, 著者らのうち高石, 渡辺らの模型試験で計測された波変位のデータである。また, ここでは簡単のために1)波の主方向が既知, 2)方向分布関数は波周波数に依存しない, ことを仮定している。速度と出会い角の主方向の組み合わせが(0.0, 0)と(0.84, 0)及び(0.84, 0)となる場合について解析したところ, ほぼ近い形状の方向分布関数を得ることができた。

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© 1999 公益社団法人日本船舶海洋工学会
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