著者は今までに、学習型フィードフォワード制御方式を用いた船舶の多変数の操縦運動制御系の設計法を提案し、計算機シミュレーションと実船実験によってその設計法が実用上有効であることを示した。しかし、多変数システムでは複数の入力と出力が互いに干渉系を構成するため、フィードバックゲインの設定には多くの試行錯誤が必要で、学習型フィードフォワード制御系の中の逆システムは、計算が面倒でしかも制御系の構成が複雑であった。本論文は、このような不都合を解消するため、非干渉制御よってフィードバックゲインを合理的に決定し、逆システムを簡易な形で構築する方法を示し、制御系が有効に動作することを計算機シミュレーションによって確認したものである。