抄録
残留性化学物質は, 人への健康影響だけでなく, 生態系保全の上からも大きな問題となっている。
わが国は, 水生生物に対する影響評価に基づく化学物質による生態系保全の取り組みを進めている。しかし, 環境に目を向けると, 残留性化学物質による汚染が全地球的な規模で広がり, 水生生物にとどまらず, 海棲ほ乳類をはじめ様々な生物への汚染や悪影響が報告されている。残留化学物質による生体影響には, 生物濃縮, 母子間移行, 相加/相乗作用など多くの要因がある。そのため, 実験的手法には限界があり, フィールドでの調査から生態影響の評価していく視点も重要と考えられる。