OECD諸国で実施されている経済的手段の中から, 排出課徴金・譲渡可能な排出権制度・預託金払い戻し制度の, それぞれ代表的な例をとり上げて, それらの手段が何をめざし, 何を達成したかを, 理想型との比較において検討し, 理論が示すとおりの機能を果たすような経済的手段を, 現実に導入するための条件を探った。総排出量の削減を効率的に達成する手段としては, 譲渡可能な排出権が, 特に直接規制に接合する形で導入される場合にはすぐれていること, 排出課徴金はそのような目的の達成には成功しておらず, それが有効かどうかはピグー税の可能性にかかっていること, 預託金払い戻し制度は, 経済的手段というよりも回収のための効果的なモニタリング装置であることが明らかになった。