1995 年 6 巻 4 号 p. 273-277
廃棄物埋立処分地内にはさまざまな微生物が存在し, 廃棄物層の安定化の役割を担っている。しかし, 廃棄物埋立処分地内での微生物の分布やその役割に関して詳細なしかも永続的な調査・研究例は非常に少なく, そのため, 廃棄物の安定化のメカニズムが解明されていないのが現状である。ここでは, 廃棄物埋立処分地を巨大なバイオリアクターとしてとらえ, 重金属類の不溶化への硫酸還元菌の役割を検討した。3年間にわたる廃棄物埋立処分地の調査結果から硫酸還元菌は季節や場所にかかわらず普遍的に分布していることが明らかとなった。硫酸還元菌を用いた重金属の不溶化実験では, 重金属は金属硫化物として不溶化し, カドミウムを用いた例では, 硫化カドミウムとなることがEDXによる解析で証明できた。