抄録
本稿では,採用・配置・処遇の3つの人事機能の分権化を用いて,人事機能を分権化することが必ずしも組織にとって効率的であるばかりではなく,場合によっては負の効果をもたらしうる可能性を検討した。分析から配置機能の分権化を行うことは組織全体にとって不利益(部門優先志向・次世代リーダー候補の不足)を引き起こす可能性があることが明らかになった。また,人的資本の柔軟性を高めることがこうした組織全体の不利益を抑制すると同時に,僅かながらではあるが,配置の分権化が人的資本の柔軟性を媒介して部門優先志向に影響を与えることが判明した。他方で,処遇の分権化は,MBO と結びつくことで人的資本の柔軟性を高めることも明らかになったことから,人事機能に応じて集権化を行うか分権化を行うべきかを使い分ける必要があることを指摘する。