抄録
本研究の目的は、テレワークが従業員に与える影響について、パネルデータを用いて、テレワーカーの変化をもとに検証することである。特に、テレワーク制度の適用者であるか否かに着目して、テレワークを実施した人の幸福度、生活満足度、週当たりの労働時間に関して分析を行った。
その結果、テレワークが制度適用されていない人、つまり職場外に仕事を持ち出し残業している可能性のある人によるテレワークは、幸福度を下げる、生活満足度を下げる、週当たりの労働時間を増加させる可能性があることが明らかになった。一方で、テレワークが制度適用されている人の場合は、これらに正の影響を与えることがわかった。この結果からは、テレワークが従業員の労働環境にプラスに働くためには、テレワークが制度として整備され、それが適用されていることが重要であると示唆された。