抄録
近年、社会の多様化が進む中、日本企業においても多様性を受け入れ、促進するこ
とが求められている。しかし、日本におけるダイバーシティ促進の効果に関する実証
的研究は十分に蓄積されていない。そこで、本研究では、代表性の高い大規模な日本
のサンプルを用いて、企業におけるダイバーシティ風土が社員の職務満足感に与える
影響を検討することを目的とした。
リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査(JPSED)」のうち、企業
のダイバーシティ風土を測定する項目が含まれている2023 年および2024 年のデータ
を利用し、ダイバーシティ風土と職務満足感の関連を検討した。クロスラグパネル分
析の結果、ダイバーシティ風土が職務満足感を高めることが示され、特に社員同士の
協働の必要性が高い場合にその効果が強まることが示唆された。さらに、職務満足感
もダイバーシティ風土の評価に影響を及ぼしていたことから、ダイバーシティと職務
満足感が双方向的に影響し合う関係にあることが示された。
本研究の結果を踏まえ、企業におけるダイバーシティ促進のポジティブな効果を最
大限活かすための提案と今後の課題について論じる。