抄録
搾乳中のウシの蹴り行動に影響を与える要因について調査した.実験1では,蹴り行動に対する産次,泌乳ステージおよび逃走距離の影響について調査した.実験2では分娩前の逃走距離と分娩後の蹴り行動との関係について調査した.実験1では,初産牛は泌乳初期に蹴り行動が多くなることが示された.また,前搾り時に蹴り行動をするウシは,経産牛より初産牛で多くみられた(P < 0.05).蹴り行動と逃走距離については,初産牛(r = 0.506, P < 0.0001)と経産牛(r = 0.465, P < 0.0001)ともに,有意な正の相関がみられた.泌乳初期の経産牛では,蹴り行動と乳量とのあいだに有意な負の相関がみられた(r = −0.361, P < 0.05).実験2では,初産牛,経産牛ともに分娩前逃走距離と分娩直後の蹴り行動に有意な関連はみられなかった.つまり,分娩直前の逃走距離では,分娩直後の蹴り行動を予測することが出来ないことが示された.