本特集は、「これまで『自然』と呼ばれてきたもの」がさまざまなかたちで取り上げられている現代の人類学において、では、そのような「自然」を記述する民族誌はいかなるかたちをとりうるのか、という方法論的な問題を提起するものである。2000年代後半に登場したいわゆる存在論的転回は、「自然/文化」という近代的な二分法、および狭義の「自然」概念を批判することによって、「広義の自然」と呼ぶべき人類学的主題を明確化した。本特集では、この主題を「いかに民族誌を書くか」という方法論的な問いと結び付けることで、現代における一つの「外の思考」としての人類学/民族誌がとりうるかたちを探究する。