抄録
皮膚は体の最外層を構成し,外界との接点になっています。温熱,寒冷,圧迫,日光,化学物質などによる外的刺激の多くは,皮膚を通して人体に伝えられます.人体は外界からの適当な刺激によって,あるいはそれとの相互作用によって,生体内の恒常性を維持し活動しています.外界の刺激が過剰であったり,また皮膚に異常があれば,過度の刺激でなくても受けとめ方が異常になり病的状態になります.
科学技術の発達とともに,私たちの環境は著しく変化してきています。大気汚染が進み,皮膚に付着する汚生物も変化しています、新しい素材の服飾,アクセサリー類も増え,アレルゲンは多様となりました.オゾン層の破壊が進み,紫外線被曝量は増え,エアコンや暖房のため住環境は乾燥してきています。現代社会は,皮膚にとって大変過酷な環境になっており,日常の皮膚に対する手入れが,皮膚の健康を維持し,皮膚疾患を防ぐのにますます重要になっています.