X線分析の進歩
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総説
3d遷移金属のX線吸収スペクトルのプレエッジピークは電気四重極遷移か電気双極子遷移か?
山本 孝
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2007 年 38 巻 p. 45-65

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抄録

3d遷移金属K殻XANESスペクトルのプレエッジピークについて,元素,配位数,対称性,d電子数ごとに整理した.プレエッジピーク強度,電気双極子,四重極遷移成分の寄与を偏光スペクトル,群論および理論計算をもとに解説した.1s電子の励起ではd軌道へは対称性とは無関係に電気四重極遷移しか起こらないが,d-p混成軌道を形成すれば軌道中のp成分への電気双極子遷移はXANESスペクトル中に強いピークとして観察される.d軌道へのp成分の混成程度は対称性に支配され,群論により説明可能である.偏光スペクトルはプレエッジピークの評価に極めて有効である.

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© 2007 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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