2013 年 44 巻 p. 293-299
広島大放射光センターでの軟X線XAFS測定において,ヘリウム雰囲気下での転換電子収量と蛍光X線収量の同時測定が可能な装置を開発した.転換電子収量法は雰囲気ガスによるチャージアップの防止効果があるため絶縁物試料に対しても適用可能であるが,発生した電子―イオン対の再結合を防ぐために電圧を印加した適切な電極を設置する.絶縁物を測定する際には有効な電位勾配が低下すると考えられるため,本研究ではポリ塩化ビニル薄膜を試料としてその保持基板および試料サイズの影響を検討し,実際的な測定条件を明らかにした.