2014 年 45 巻 p. 115-127
著者は,現在,試料を走査することなく蛍光X線による元素マッピングが行えるリアルタイム蛍光X線顕微鏡(Real-time X-ray Fluorescence Microscope; R-XRFM)の構想設計を行っている.その点収束系モノクロメータにヨハンソン型,又はヨハン型二重湾曲モノクロメータを用いた場合について,ray-tracing法によるシミュレーション計算により性能評価を行った.蛍光X線波長をAl Kα1,モノクロメータを60 mm径のα石英結晶,ローランド円半径を300 mmとした条件における計算結果から,ヨハンソン型の場合,0-50 μm四方の分析領域からは位置分解能<0.001-1.3 μmで,50-100 μm四方の分析領域からは位置分解能1.3-2.5 μmで,検出器受光面に収束することがわかった.また,ヨハン型の場合,横幅を40 mmに制限することにより,0-100 μm四方の分析領域からは位置分解能1.5-3.7 μmで検出器受光面に収束することが分かった.いずれの場合も,角度分解能は0.010°であり,R-XRFMによりアルミニウムの配位数の違いによる蛍光X線波長の違いを識別して元素マッピングが行える可能性があることがわかった.