2015 年 46 巻 p. 187-201
球面湾曲結晶を80°近いブラッグ角で用いる,実験室用の1結晶型・高分解能X線分光器を製作し,CrとFeの化合物についてKβ1,3スペクトルを測定した.約1 eVの化学シフトを伴うプロファイル変化が明瞭に観測された.ここから,製作した分光器が放射光実験の予備測定に十分な性能をもっており,濃度が数%程度の試料なら,放射光実験を一部代替できる可能性があることがわかった.試験的な応用として,乾燥・焼成したCr (OH)3ゲルと水ガラス中のFe化合物の化学状態を検討した.