X線分析の進歩
Online ISSN : 2758-3651
Print ISSN : 0911-7806
原著論文
蛍光収量法を用いた軟X線XAFSの分析深さと自己吸収効果
薄木 智亮伊藤 亜希子安達 丈晴速水 弘子山中 恵介
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キーワード: 軟X線XAFS, PFY, IPFY, 分析深さ, NiO
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2017 年 48 巻 p. 224-234

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抄録

10~1000 nmの6種類の膜厚をもったNiOを試料として,Ni L-XAFSの蛍光収量スペクトルをシリコンドリフト検出器(SDD)で測定し,自己吸収効果について考察した.測定モードはNi Lα発光強度を測定する部分蛍光収量(PFY)法と,O Kα発光強度の逆数を測定する逆PFY(IPFY)法の2種類を用いた.PFYモードでは,膜厚の増加とともに,顕著な自己吸収効果が観測された.PFYモードの自己吸収のないスペクトルは,PFYスペクトルを各エネルギーで求めた分析深さで除すると得られ,IPFYモードの分析深さは,その逆数がIPFYスペクトルに一致することを見出した.これらPFYモードとIPFYモードの分析深さが類似していることから,実用的な自己吸収のないスペクトルを求める方法として,PFY強度をIPFY強度で除する方法を提案した.

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© 2017 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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