10~1000 nmの6種類の膜厚をもったNiOを試料として,Ni L-XAFSの蛍光収量スペクトルをシリコンドリフト検出器(SDD)で測定し,自己吸収効果について考察した.測定モードはNi Lα発光強度を測定する部分蛍光収量(PFY)法と,O Kα発光強度の逆数を測定する逆PFY(IPFY)法の2種類を用いた.PFYモードでは,膜厚の増加とともに,顕著な自己吸収効果が観測された.PFYモードの自己吸収のないスペクトルは,PFYスペクトルを各エネルギーで求めた分析深さで除すると得られ,IPFYモードの分析深さは,その逆数がIPFYスペクトルに一致することを見出した.これらPFYモードとIPFYモードの分析深さが類似していることから,実用的な自己吸収のないスペクトルを求める方法として,PFY強度をIPFY強度で除する方法を提案した.