2017 年 48 巻 p. 273-283
立命館大学SRセンターにおいて,蓄電池解析に特化した軟X線XAFSビームラインBL-11の建設を行った.BL-11では刻線密度,溝深さの異なる3つの不等間隔刻線平面回折格子を用いることで50~1200 eV領域のXAFS測定が可能であり,多モード同時計測システム,大気非暴露測定システム,有効作動排気システムを有している.このビームラインの有用性を実証するため,充放電サイクル試験を行ったLi2MnO3正極についてのex-situ XAFS測定と充放電過程におけるLiMn2O4正極のin-situ XAFS測定を行った.前者の実験から多モード同時計測システムによる深さ方向分析が有用であること,後者の実験から新開発の全固体蓄電池用測定セルが正極の化学状態変化の直接観察に利用できることが,それぞれ示された.