色素増感太陽電池の酸化チタン(TiO2)における電子の励起・放出に基づく電気伝導性を評価するため,様々な条件で調製したTiO2膜と炭素含有TiO2膜の全電子収量軟X線吸収スペクトル(TEY-XAS)を測定した.CK端,Ti L端,O K端近傍の試料電流を測定し,膜の組成と電気伝導性について検討した.その結果,(1)各吸収端の励起に伴うTiO2の電気伝導はルチル型とアナターゼ型の結晶構造に依存しない,(2)炭素含有TiO2膜ではTi L端の励起において炭素による電子捕捉が示唆される,(3)導電性炭素よりもグラフェンの方がC K端の励起における電気伝導が大きい,ことがわかった.これより,TEY-XASは元素選択的に酸化チタンの電気伝導性を調べる方法として有効であることを示した.