本研究では,シリコン基板上に成長させたペロブスカイト型のバナジウム酸化物La1−xSrxVO3の薄膜に対するXAFS(X線吸収微細構造)測定を電圧印加下のオペランドで行った.これらの物質はバンド絶縁体ではなく電子同士のクーロン反発によるモット絶縁体となっている.V-K端のXAFS測定と電流電圧特性の測定を同時に行った.バナジウム酸化物とシリコンの界面にエネルギー障壁があることを活かし,電圧印加に伴うバナジウムの価数変化が起こることが期待された.しかし,0-60 Vの印加によりV-K端のXAFSスペクトルの変化はほとんど観測されなかった.この結果は,電極の大きさに対しVの価数変化の領域が小さい,あるいはキャリア数変化が下部界面の2 nm程度にとどまり,全体のVの価数を変えるほど大きくない可能性を示している.