2023 年 54 巻 p. 165-172
酸化ガリウム(Ga2O3)光触媒にAg助触媒を担持すると,水によるCO2還元(CO生成)活性が向上する.しかし,反応中にAgの状態が変化するため光触媒活性が低下することも知られている.本研究では,光触媒的CO2還元を模擬した反応ガス雰囲気でin-situ UV-Vis拡散反射および軟X線領域XAFS測定を行うことにより,Ag助触媒の物理・化学状態変化のその場観察を試みた.その結果,反応前に担持されていた酸化銀は光分解され,Ag+として水中に溶出後,銀ナノ粒子あるいは金属的銀粒子として析出することが分かった.このような銀助触媒の動的過程は反応ガス雰囲気に依存すること,すなわち,水(水蒸気)は銀ナノ粒子の形成を促進する一方,CO2は酸化ガリウムや酸化銀に吸着し,銀ナノ粒子の形成を抑制することも明らかとなった.