2022 年 14 巻 1 号 p. 61-69
本研究では,在宅医療における薬剤師のストレス要因であるストレッサーを明らかにするため,愛知県内の在宅医療受入薬局 633 軒にストレス調査票を郵送した.有効回答 257 件のストレス調査票を因子分析した結果,7 因子「終末期の患者ケアの難しさや葛藤」「患者による暴言等のふるまい」「職場におけるソーシャルサポート」「仕事量や時間的切迫」「医師との対応」「患者とのコミュニケーション」「患者との信頼関係」が得られた.また,自由記述の質的分析から,6 因子「薬剤師の在宅業務体制」「薬剤師の役割への葛藤」「仕事量に対する経済的対価」「他職種との関係」「在宅訪問先の環境」「知識や技術不足」が抽出された.薬剤師は他職種や患者,同僚との対人関係,患者の死および在宅に関する業務がストレッサーになっていることが明らかになった.本結果をストレス管理等に活用することで,薬剤師のバーンアウト防止やストレス軽減が期待される.