薬局薬学
Online ISSN : 2434-3242
Print ISSN : 1884-3077

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エルネオパNF輸液中に混注された6種薬剤の輸液ライン通過後の濃度変化に関する検討
熊谷 岳文 山下 純楢原 奈穂子佐藤 英治木平 孝高藤村 よしの小嶋 英二朗小川 祥二郎伊達 有子井上 裕文
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: nt.2023-0016

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抄録

エルネオパNF1号および2号輸液は,4室から構成されるクワッドバッグ構造の高カロリー用キット製剤である.エルネオパNF輸液を中心静脈栄養法に使用する場合,患者の症状を改善するために,様々な薬剤が輸液バッグに一緒に注入される.本研究では,エルネオパNF輸液にファモチジン,ブチルスコポラミン臭化物,フロセミド,ブロムヘキシン塩酸塩,ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム,メトクロプラミド塩酸塩を含む6種の薬剤を混注し,輸液ライン通過後の輸液中の各薬剤の濃度変化について24時間調査し,その安定性を検討した.輸液ライン通過後のエルネオパNF 1号 および2号輸液中のファモチジン,ブチルスコポラミン臭化物,フロセミド,ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム,メトクロプラミド塩酸塩の濃度は治療上問題となるような有意な減少は認められなかった.しかし,輸液ライン通過後のエルネオパNF 1号および2号中のブロムヘキシン塩酸塩の濃度では,有意な低下が認められた.したがって,ブロムヘキシン塩酸塩をエルネオパNF輸液に混注した場合,期待した治療効果が得られない可能性が示唆された.また,フィルターありおよびなしの輸液ラインを用いた検討により,いずれの薬物においても,混注によってその濃度に影響するような不溶性微粒子の生成がないことが示唆された.本研究の結果は,中心静脈栄養法に関する有用な情報になるものと考えられる.

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© 2023 一般社団法人 日本薬局学会

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