論文ID: oa.2024-0022
高齢者では肌の乾燥が亢進し,痒みをもたらすことが知られている.長期にわたる痒みはQOL(quality of life)を低下させるため,介護の現場では高齢者の適切なスキンケアが求められる.そこで住宅型有料老人ホームに勤務する介護者の外用薬塗布に関する理解度向上を目的として,入居患者の痒み症状の確認と介護者に対するアンケートを用いたスキンケアの実態調査を行い,薬剤師の指導により患者の痒みや介護者の理解度が改善されるか確認した.その結果,介護者の薬剤に対する理解度は指導前後において多くの項目で改善が見られた.また患者の約半数に痒みが認められ,薬剤師の指導後に患者の痒みNRS(numerical rating scale)は有意(p<0.001)に低下していた.薬剤師が介護者に対して指導を行うことで介護者の外用薬に関する理解度が向上し,介護者の理解度が向上することで患者に対し適切なスキンケアが実施され,患者の痒みの軽減につながる可能性が示唆された.