Summary
Blood brain barrier (BBB) is strong barrier specific to the brain vasculatures. BBB protects the brain from xenobiotics, while make it difficult to predict toxicokinetics/toxicodynamics, pharmacokinetics/pharmacodynamics, and efficiencies of new drugs in drug development. In this review, we will explain the physiological significance of BBB, the reason why the humanized BBB Micro Physiological System (MPS) is necessary, and the background technologies of BBB MPS. Because BBB MPS is the fusion of the engineering element technologies and the biological element technologies, we will explain the element technologies in both fields, respectively. We will also introduce the recent trends of BBB MPS to improve the human predictability: the shear stress in microfluidic models and the cellular architecture reproduction by three dimensional culture.
1. 血液脳関門
脳=中枢神経系(central nervous system: CNS)の血管は血液と脳実質の物質交換を制限し,神経細胞を末梢由来有害物質から守っている.この機構は血液脳関門(blood brain barrier: BBB)とよばれ,500 Da以上の分子はほぼ100%,低分子の98%を透過させない.1)脳血管は,内膜(内皮細胞),中膜(平滑筋細胞),外膜(結合組織)の三層で構成されている.直径10 µm以下の毛細血管では,脳毛細血管内皮細胞(brain microvascular endothelial cell: BMEC)の周囲を平滑筋にあたる壁細胞(pericyte: PC)が表面積の30%を覆っている.2)その外側をアストロサイト(astrocyte: AC)の終足(=endfeet)が取り囲むが,BMECとPCは基底膜にくるまれ,AC endfeetは血管に直接接触していない.3)BMECはタイトジャンクションタンパク質(tight junction proteins: TJs)(Occludin, claudin-5, ZO-1など)により密着し,傍細胞輸送(=paracellular transport)が最小化されている.更に,CNSに移行した分子を排出系トランスポーターによって積極的に排出する.Adenosine triphosphate-binding cassette(ABC)transporter family4)の1つ,P-glycoprotein(P-gp)はCNS内に広範囲に分布して様々な構造の化合物を排出する.5)BMECにはalkaline phosphatase(AP),gamma-glutamyl transpeptidase, aromatic acid decarboxylase, cytochrome P450などの代謝酵素が特異的に発現し代謝バリアとしても機能している.6)一方,BBBはCNS機能に必要な分子は選択的に取り込んでいる.アミノ酸やグルコースなどの栄養源はsolute-carrier transporters(SLC)によって取り込まれる.インシュリンやトランスフェリンといった高分子は受容体を介した輸送(receptor-mediated transcytosis: RMT),プラスチャージを持ったタンパク質はabsorptive-mediated transcytosis(AMT)によって取り込まれる.7,8)以上はBMECの特徴的機能であるが,ACもバリア機能に貢献している.AC endfeetにはKir4.1 K+チャネルやaquaporin4といったイオン濃度調節分子,P-gp, glucose transporter-1(Glut-1)などが極性をもって発現している.9,10)更に,脳の免疫担当細胞ミクログリアによるTJs発現調節,11–13)神経細胞によるTJsの発現及び局在調節なども報告されている.14)このように,BBBは中枢神経系に連動したシステムであり,現在では脳血管と周囲の中枢神経系細胞を包括してneurovascular unit(NVU)と呼ぶ.15)
2. BBB MPS登場の背景
中枢神経系薬物動態評価のゴールドスタンダードとして齧歯類動物を用いたin vivoモデルが使用されているが,動物実験で脳に送達された薬物の80%は臨床試験でドロップアウトし,16)中枢神経薬が上市に至る確率は7%17)と他の疾患領域と比較して極端に低い.この理由の一つとしてBBBが挙げられる.BBBの強固なバリア機能と高選択的な分子移行性はCNSのpharmacokinetics/pharmacodynamics(PKPD),toxicokinetics/toxicodynamics(TKTD)研究は非常に困難にしている.例えば,P-gpは薬剤耐性に関与するが,構造選択性については解明されていない点が多い.18)更に,薬物動態予測の難しさが不幸な事故につながる例もある(Report by the Temporary Specialist Scientific Committee(TSSC),“FAAH (Fatty Acid Amide Hydrolase),” on the causes of the accident during a Phase 1 clinical trial in Rennes in January 2016).一方で,薬物等を脳内に送達するため,RMTを応用した新しい技術も登場している,例えば,lipoprotein receptor-related protein-1(LRP-1)の基質angiopep-2に結合した抗がん剤paclitaxel(有糸分裂阻害)が脳腫瘍動物の生存期間を延長したことが報告されている.19)以上のような背景から,BBB MPSは医薬品開発の安全性,動態,有効性評価の中で中枢神経系の関連を非臨床段階で検討可能とする新たなツールとして大きな期待が寄せられている.
3. BBB MPS開発のこれまでの流れ
初めてin vitro BBBモデルが発表されたのは1953年にさかのぼる.初代培養動物細胞を用いたトランスウェルタイプであった.1970年代には,脳血管内皮細胞(brain endothelial cell: BEC),1980年代には脳微小血管内皮細胞(brain microvascular endothelial cell: BMEC)の単離培養が始まった.このころ,ACとの共培養がTJ機能を亢進することが見い出された.2000年代には接触型と非接触型トランスウェルタイプが発表され,接触型ではトランスウェル上面にEC,下面にACやPCを播種する.非接触型ではトランスウェル上面にEC, ACやPCはディッシュ底面に播種される.20,21)最近ではヒトEC, AC, PCを使った3次元(three dimensional: 3D)モデルにマイクロ流体技術(microfluidics)を組み合わせたタイプも登場している(後述).これまで,個々の研究室において独自に開発が進められてきたBBB MPSであるが,社会ニーズの高まりとともにBBB MPSの「BBBらしさ」を客観的に判断するための項目,すなわちベンチマーク項目を決定する必要も高まってきた.われわれは,2017年より開始された日本医療研究開発機構「再生医療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発)」において,ユーザーである国内製薬企業と連携しベンチマーク項目を決定した(Table 1).しかし,ヒトBBBの機能は複雑かつ多岐にわたるため,ベンチマーク項目は生体との同等性を目指すためではなく,デバイスの基本性能を見極めるために使用するのが望ましいと思われる.ベンチマーク項目の中で,比較的簡便に測定できるバリア機能パラメーターとしては経上皮電気抵抗(trans endothelial electrical resistance: TEER)があげられる.本稿でも参考データとして使用する.齧歯類ではin vivoでのTEER実測が行われており,末梢血管では3.33 Ωcm2,22)BBBでは1500–2000 Ωcm2,23)5000 Ωcm2という算出例がある.24)TEERは測定装置,トランスウェルタイプの場合はメンブレンのポアサイズ,温度,測定中の細胞状態などによって数値がばらつくことがある.25)また,TEER変化はTJ形成,イオンの移動を総合的に反映するもので,メカニズムを推測するのが難しい.したがってTEER値測定と同時に多面的な評価を行うことが推奨される.
Table 1. Minimal Essential Benchmarks for ‘BBB Likeness’
| | mRNA expression | Protein expression | Substrate | Establishment of protocol | Function | Additional info |
---|
Transporters | P-gp | | | Rhodamine 123 Quinidine | | | |
BCRP | | | Hoechst 33342 | | | |
Glut-1 | | | 2-NBDG | | | |
TfR | | | MEM189 FITC-Tf | | | |
Tight Junction | TEER | — | — | — | | | |
| — | — | Caffeine (permeable) | | | |
| — | — | Lucifer Yellow (impermeable) | | | |
Claudin 5 | | | — | — | — | |
ZO 1 | | | — | — | — | |
Endothelial Marker | CD 31 | | | — | — | — | |
4. BBB MPS要素技術の進歩
BBB MPSデザインは大きく4種に分けられる.(1)膜上に細胞を載せる2次元(two dimensional: 2D)タイプ(microfluidicsによるshear stressや細胞間相互作用を付加できる場合もある),26,27)(2)並行チャンネルマイクロ流体タイプで2Dもしくは3Dタイプ,28)(3)並行チャンネルマイクロ流体タイプで自律的血管新生を促すタイプ,29,30)(4)細胞外基質で構成された管腔状の型の中に微小血管を再構成するタイプ31,32)である.特に,自律的に血管を再構成させるデザインは,より複雑な脳内微小環境の再現が可能と言われている.以上のBBB MPSには生物学的要素技術と工学的要素技術の融合が必要であり,それぞれの領域において日進月歩で技術が進展している.
4-1. 生物学的要素技術の進展—搭載細胞の開発BMECはNVU構成細胞との共培養によって機能が向上する.ACはBBB形成を促進する液性因子を分泌し,PCは血管透過性促進因子を抑制しBBB形成を誘導する.33)そこで,BMEC, AC, PCのトリプルカルチャーが汎用されている.34)しかし,TJs, BCRP, MRP-1,インシュリン受容体発現が維持される一方,Glut-1, P-gp, TfRの発現は顕著に低下する.35,36)細胞収率が高い畜産動物であるウシやブタからの採材も積極的に行われており,異種動物細胞を組み合わせた共培養BBBモデルについてはBickerらの総説に詳しい.37)BMECの採材,培養の困難さから株化細胞モデルの開発も進められているが,株化BMECはTJ形成,TEERは初代培養細胞におよばない.38)マウスBMEC由来の細胞株bEND.5, bEND.3は汎用されているもののTEERが低いことから,39)大脳毛細血管からcEND細胞株が開発され,グルココルチコイド適用によりTEERが1000 Ωcm2に至った.40)マウス,ヒトBMECのトランスクリプトーム解析では全遺伝子の10%に相違が見られる.41)トランスポーター等,機能タンパク質の発現量や基質親和性にも種差が指摘されている.42)このような種差問題はBBB MPSの開発目標をヒト型モデルへと押し上げた.個別化医療の流れもヒト型モデル開発に拍車をかけている.実はヒト末梢組織由来株化細胞であるhuman epithelial colorectal adenocarcinoma cell line(Caco-2),human urinary bladder carcinoma cell line(ECV304)などがin vitro BBBモデルに使用されてきたが,機能タンパク質発現プロファイルはBBBと異なっている.43,44)そのため,これらの細胞はP-gpを強制発現したCaco-2(VB-Caco-2)45)といった形で使用されることが多い.ヒト型モデル開発の鍵となるのがヒトBBB構成細胞の入手である.初代培養細胞はてんかん外科手術等のごく限られた機会でしか採材できず,BBB MPSの医薬品開発応用等の二次的展開には向かない.更に,初代培養細胞はトランスポーターなどの機能タンパク質発現を長期間維持することが難しい.46)そこで,ヒト株化BMECの樹立が進められ,47)既に400報以上の報告がある.現在,最も汎用されるヒト株化BMECはhCMEC/D3である.hCMEC/D3はてんかん患者から切除された側頭葉BMECをhTERT/SV40で不死化した細胞でTJs,48–50)BMECが持つサイトカイン受容体(CXCR-1, CXCR-5, CCR-3, CCR-6),51)P-gp, breast Cancer Resistance Protein(BCRP),multidrug resistance-associated Protein 1(MRP1),47,52)Glut-1, monocarboxylate transporter 1(MCT-1),インシュリン受容体,TfRの発現が確認されている.53)中枢移行性の薬物(antipyrine, caffeine, diazepam, propranolol)と移行性のほとんどない薬物(atenolol, cimetidine, vinblastine)の選別ができるが,54)TEERは30–50 Ωcm2にとどまる.BB19はヒトパピローマウィルスのE6E7 geneによって形質転換しており,55)TY10は髄膜腫から取得したBECsを温度感受性SV40 large T-antigenにより不死化した株である.56)2013年には,トランスウェルモデルで比較実験が行われ,hBMECが最も高いTEER成績を示している.57)株化細胞は総じて,BMEC特性の維持が難しくTEERが低いことから,その後の幹細胞由来BMEC研究へとつながっていった.48,58,59)BMEC分化が行われた幹細胞リソースとしては,ヒト胚性幹細胞(human embryonic stem cells: hESC),60)ヒト人工多能性幹細胞(human induced pluripotent stem cells: iPSC)61,62)や臍帯血由来幹細胞58)などの間葉系幹細胞がある.多能性幹細胞からのBMEC分化誘導プロトコルは,内皮細胞と神経系前駆細胞との混合誘導であるが,59)混合培養であることがECの機能成熟に有利に働いていると予想される.ヒトES細胞由来の内皮前駆細胞を用いたRNA-seqによりCNS barriergenesisシグナル分子機構(Wntからのカスケード)が明らかになりつつあり,EC機能の向上が期待される.63)ヒトiPSC由来BMECでは,単独でTEER 2000 Ωcm2,64)初代培養ヒトPC,ヒト幹細胞由来AC,ヒト幹細胞由来神経細胞との共培養により~5000 Ω/cm2に到達している.65)hiPSCから直接BMECを分化させるプロトコルも開発された.66)これらのプロトコルによって得られるBMECはin vivoと相関のあるバリア機能を示すため広く使われ始めている.しかし一方で,現在普及しているhiPSCからのBMEC分化誘導プロトコルはVE-cadherin発現が低いなど,67)内皮細胞としての特徴が弱いことも指摘されている.Retinoic acid適用,65)TGFβ阻害68,69)やWnt/β catenin signaling活性化,63)3D培養70)によりBBB機能分子発現の誘導が試みられているが,トランスクリプトーム解析により上皮系細胞の混在はいまだ解決していない.41)hiPSCからのBMEC以外のBBB構成細胞の分化誘導プロトコルも確立しつつある.Neural crest stem cells(NCSCs)を介して無血清で分化させるとPCマーカー陽性細胞を誘導できる.71)hiPSCからACを分化誘導するプロトコルはhiPSC由来神経細胞と同時に開発されデバイスへの応用が進んでいるが,72)成熟に時間がかかる点が課題となっていた.73)しかし,グリア誘導因子を過剰発現させることで改善されつつある.74)最近では,iPSC由来ECとiPSC由来ミクログリアとの共培養系が炎症反応再現のために使われた例もある.75)間葉系幹細胞を由来とするケースとしては,臍帯血由来幹細胞から分化させたBMECがある.PC共培養はWnt3a, 7aを放出して機能成熟を促進し,58)ACもP-gp, BCRP, Glut-1, MRP-1の発現を上昇させる.48)mRNAレベルであるが,transferrin (TF),インシュリン,LDL受容体など,薬物送達に係わる分子発現も確認されている.中胚葉性幹細胞はPCマーカーを発現したペリサイト様細胞に一端分化し,幹細胞からのBMEC分化を促進するという報告もある.76)更に,骨髄幹細胞からのPC誘導も報告されている.このPCはVEGF等の血管新生誘導タンパク質の発現が高い.77)
4-2. 工学的要素技術の進展—デバイスデザイン,基材開発工学的要素技術として,microfluidics技術の改善,デバイス基材の開発等があげられる.Microfluidicsは微少な流路チャンネルを多くのアプリケーションのために調整し組み合わせる技術である.78)Microfluidicsの利点として,血管のapical sideにかかるshear stressを再現できることがある.平均5 dyn/cm2,44)5–30 dyn/cm2と言われるが,79)概算値と解釈するのがよいと思われる.Shear stressはBBBバリア機能やトランスポーターの発現促進に重要であることがわかってきている.80)マウスAC株C8-D1Aを培養したトップチャンネルと,マウス初代培養PCを培養したボトムチャンネルで,多孔ポリエステル膜に培養したb.End3を挟み込む3D microfluidicモデルでは,mannitol低透過性,P-gp排出能を再現している.81)b.End3と株化ACをそれぞれ表裏に培養したポリカーボネート膜の上方から水圧をかけるmicrofluidicモデル,microBBBでは,TEERが静置型モデルの10倍向上する.82)株化ヒトBMECであるhCMEC/D3においてもshear stressによるTEER上昇が観察されている.83)Hollow fiber(繊維内部が中空になっている化学繊維)にBovine大動脈内皮細胞を播種し,その上に装着するガスケットにC6 gliomaを播種して共培養するDIV-BBBも発表されているが,84)TEER安定性に課題が残る.Shear stressは細胞周期をとめて細胞増殖を阻害することがわかっているため,80)shear stressをかけるのは細胞構築が完成した後が望ましいとされている.一方,Shear stressの作用メカニズムも解明されつつある.hCMEC/D3単層培養モデルにより,BBB形成に必要なshear stressの強度,shear stressの作用にヒアルロン酸受容体CD44を介したRac1活性化,RhoA活性阻害が必要であることなどが明らかとなっている.85)Shear stressを受けたhCMEC/D3のプロテオミクスでは,NRF2 transcription factorの活性化等によって抗酸化作用に係わるタンパク質の発現上昇,炎症促進に係わるタンパク質の発現減少が検出されている.86)一方,TJsやABCトランスポーター等機能タンパク質の発現量に変化はなかった.これらはshear stressのメカニズム解明の第一歩となるデータであるが,株化細胞以外のさらなるデータが待たれる.デバイス基剤は大きく3種に分けられる.(1)コラーゲンやマトリゲルといった天然素材,(2)polylactic acid(PLA)やpolyglycolic acid(PGA)とそれらのコポリマーPLGA, polydimethylsiloxane(PDMS),更に(1)と(2)のハイブリッドである.3Dプリンティングによる外枠の作製やバイオプリンティングの技術もBBBモデルの進化に貢献している.87)最近,特に注目されているのはマトリゲルやECM中に自律的に血管新生を起こさせるというモデルである.88)基質としては,基底膜成分であるコラーゲン,ラミニン,ヘパラン硫酸プロテオグリカン,nidogenなどが使われている.hiPSC由来ECのために帯電性の足場としてポリ乳酸を使いヒト脳実質の再現を試みた例もある.89)高画質イメージングが可能なsilicon nitride membraneも使われるようになってきた.このメンブレンはtranscytosisやnanoparticle輸送をライブ観察することができる.90)われわれも,大阪大学工学部の松崎研究室との共同研究において,フィブリンゲル中にコラーゲンの足場を作り,株化BMEC, PC, AC91)から自律的に脳毛細血管を再構成させることに成功している.92)このチューブネットワークデバイスでは,TfRを介したRMTが再現できている.93)現在hiPSC由来BMECへの置き換えを進めているところである.94)
5. 3D化+microfluidicsによるさらなる機能向上
生体内細胞機能再現に3D培養が有効であるため,BBB MPSの一環としてBBB spheroidsが提案されている.95,96)ヒトBMEC, PC, ACを低接着性条件で培養することにより,BMECで包まれた疑似脳実質をもつオルガノイドができる.96)市販初代培養ヒトBMCE, PC, AC及びhiPSC由来神経幹細胞,オリゴデンドロサイト,ミクログリア等の市販品を活用したオルガノイドでは,6層の神経細胞層,ミクログリア,オリゴデンドロサイト,血管網が再現されている.この血管のBBBにはTJs,トランスポーター発現が確認されている.このモデルで毒性試験や虚血条件の検討などが試行されている.97)より取り扱いの容易なヒト株化BMEC, PC, ACからなるスフェロイドを使ってRMTやペプチド透過性を検討した例もある.98)スフェロイドを用いた透過性試験ではイメージングデータの定量化が必要であるが,それ故に個々のスフェロイドの大きさや細胞密度,細胞構成等の制御が今後の課題と思われる.Microfluidicsでは独創的なデザインに基づいた開発も進んでいる.PDMSで作製された8チャンネル,2チャンネルを二層に重ねるタイプにhCME/D3とヒトACを播種した例などがある.99)また,hiPSC由来BMECをmicrofluidicチャンバー内で初代培養PC conditioned mediaで培養すると,10 kDaの閾値でtranscytosisを検討できるようになる.この報告ではPC conditioned mediaがPC共培養と同等の効果を呈しており,更に,384ウェルのスクリーニング系としたことで評価の簡便性,効率性を向上させている.実際に,抗炎症薬のスクリーニングで好成績が得られている.100)BMECと他のBBB構成細胞との配置に由来した特性を再現するため(zonation),基底膜,101)shear stress,102,103)その他の細胞との相互作用,30,104)管腔構造の再現,105)血液組成の再現,106,107)神経活動108)の関与についても検討されており,これらのアイディアはデバイスデザインに活かされている.最近,ヒト幹細胞由来もしくは初代培養ECとヒト初代培養PC, ACとをfibrin gel基質中で微小血管構造として培養したmicrofluidic modelプロトコルが発表された.BBB構成細胞の3次元立体配置が再現されておりshear stressをかけることができる.Mass spectrometryを用いた透過性評価例が示されている.109)よりユーザーの手の届きやすいBBB MPSとして,既に市販品も登場している.米国Nortisからはtype 1コラーゲン3DハイドロゲルにヒトACとヒトPCを包埋し,その中のチューブにhCMEC/D3あるいは皮膚由来MECを播種したモデルがリリースされている(tissue-engineered microenvironmental systems: TEMS).細胞播種後はチューブ内を継続的に灌流するmicrofluidicモデルとなっている.110)興味深いことに,shear stress下で三次元培養された初代培養BMECは,その後,静置培養に落とし込んだ際にも強力なバリア機能を維持する.111)また,ミメタス社(オランダ)が販売しているOrganoplateではcollagen gel内に脳内細胞を培養し,それに接触する形でMECをチューブ状に培養するデザインで,農薬等の毒性評価に使用実績がある.112)ただし,複雑な構成のモデルほど品質確保に工夫が必要になる.Microfluidic modelはshear stressのコントロールなどスペック要件が多く,ベンダーが品質規格をどこまで保証するか,今後の企業戦略を注視する必要がある.
6. おわりに
MPSは生物学研究と工学研究における要素技術の集大成である.抗体医薬品やCAR-T等のニューモダリティ医薬品の開発競争が進む中,ヒト型BBB MPSへのニーズはますます高くなっている.安全性,動態,有効性評価といった種々の例をご紹介したが,目的に応じてBBB MPSに求められる品質規格も異なる.MPS開発では,Concept of Use(COU)(使用の意図,目的の意)という概念が共有されており,まずは特定のCOUを満たすMPS開発が進められている.その場合も,臨床データのある医薬品等を用いて評価系の信頼性を適正に把握する必要があるのは言うまでもない.BBB MPSのポテンシャルを更に伸ばすために,BBB MPSに特化した検出機器等の周辺技術開発も進んでおり,波及的な技術革新も大いに期待される.
謝辞
本稿の一部は国立研究開発法人日本医療研究開発機構「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業」(課題番号:21be0304207)で得られた成果であり,ここに厚く感謝の意を表します.
Notes
本総説は,日本薬学会第142年会シンポジウムS34で発表した内容を中心に記述したものである.
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