山野研究紀要
Online ISSN : 2433-6424
Print ISSN : 0919-6323
地域生活向上による地雷・不発弾被害の未然防止について
2006年以降のカンボジアでの経験から
漆原 克文
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2009 年 17 巻 p. 17-22

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抄録
1991 年の内戦終結後 17 年を経たカンボジアでは、いまだに地雷・不発弾による犠牲者が日々発生している。地雷・不発弾被害者を生んでいる原因は、いうまでもなく撤去されなかった地雷・不発弾の存在であるが、それにあわせて地雷・不発弾汚染地域の住民が、貧しさから危険な地雷・不発弾を生活の必要のため金属スクラップとして回収・売却していることも見逃せない。いわば貧困が地雷・不発弾を媒介として新たな生命の危険及び身体障害を生んでいる社会経済構造が存在している。このことは世界中の紛争を経験した開発途上国に共通する問題といえる。2006 年以降のカンボジアの地雷・不発弾被害者の急激な減少は、この問題に対して地域で最下層の生活をしている人々の生活向上を図ること等により、かなりの地雷・不発弾被害の未然防止が可能であることを示している。
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© 2009 学校法人山野学苑 山野美容芸術短期大学
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