2022 年 30 巻 p. 25-31
医療や介護の現場で美容や整容は長く生活支援の一つと扱われており、専門的な対人援助技術としての特別な知識や技術を必要とする領域として扱われてこなかった。しかし、2000年代に入って、化粧などの美容を使った心理学、看護、リハビリテーション系の介入研究が相次ぎ、化粧療法やメイクセラピーなど「ケアとしての美容」を表す用語も使われるようになった。1999年に設立された日本美容福祉学会で2001年から始まった学術集会においても、様々な美容を活用した研究や実践報告がなされた。本稿では、同学会にて2001年から2022年までに発表された193の演題を抽出し、質的研究技法である継続的比較分析の方法を応用しラベリングを行った。 近年では様々な健康課題に対して、「美容の効果をもって解決を図る」という機運が高まっている。そこで、この結果をもとに、「ケアとしての美容」の教育と人材育成のあり方を体系化することを提案する。